歯の豆知識

2017年8月18日
成長期の矯正について

本日は、顎顔面矯正(成長期の矯正)について、ご紹介します。

今回のお子さんは、5歳の男の子です。

下の前歯の歯並びが気になるとのことで、矯正のご相談になりました。

スライド08.jpg

通常、永久歯は乳歯の真下から生えてこようとします。しかし、永久歯の横幅は乳歯の横幅よりも大きいですよね。なので、乳歯同士がぴったりとくっついていると、隣の歯に邪魔されてしまい、歯と歯の間に永久歯が入れなくて、真下から出てこられなくなります。

それでも永久歯は出てきたいので、どこかゆとりのある場所を探しての伸びてきます。その結果、写真のように乳歯の内側から出てきてしまいます。つまり、歯の入るスペースが不足しているということです。

 

永久歯は、乳歯の真下から生えて来る場合は、乳歯の根っこを溶かしながら上に上がってきます。その結果、乳歯の根っこはどんどん短くなります。短くなった分、永久歯が上に上がってくる仕組みです。最終的に乳歯は、根っこがなくなってしまい、支えが弱くなってグラグラし、抜けていきます。

抜けた乳歯を見ると、とても小さいと思いますが、そういうわけで根がなくなっていることが理由です。

 

しかし、前述のように、両隣の歯があって永久歯が入り切らない場合、乳歯の真下から生えられず、内側や外側にズレて伸びてきます。真下からではないので、乳歯の根っこを溶かすことなく伸びてくるので、乳歯は全然グラグラしてくれません。ですので、乳歯がまだあるのに永久歯が出てきてしまい、前後で2つ並んでしまうのです。上の写真がまさにその状態です。

 

さて、このかたのレントゲン写真を見てみましょう。

 3402.jpg

 

◯で囲ってあるのが、下の前歯付近です。

わかりづらいですが、オレンジの☆2つが、前の乳歯です。青い☆2つは、本来その真下から出てくるはずの永久歯です。

真下から出たいのですが、それぞれ隣の歯が接近しているので、入るための場所が足りません。そこで、乳歯の内側から出て来てしまい、結果として乳歯も永久歯もある、という状態になってしまっています。

もしも、乳歯同士がすきっ歯であれば、このようなことは起こりません。

 

もしこのように乳歯と永久歯が並んでしまったら、乳歯を抜いた方が良い場合が多いです。

 

さて、次の段階ですが、先程のレントゲンです。

 スライド06.jpg

 

オレンジの☆はまだ埋まっている永久歯です。次に生えてくる2本に当たります。しかし、これも問題です。さっきの歯よりもっとキツキツで、隙間から出られそうにありません。

 

同じことが上の歯にも見られます。

 スライド05.jpg

一番わかりやすい場所に印をしました。

埋まっている2番めの永久歯ですが、狭いので出れれそうもありませんよね。

 

 

このように、歯並びは「歯の横幅」と「顎の大きさ」のバランスで決まります。もし、歯の横幅が大きくて、顎の幅が足りない場合、歯が入りきらないのでちょっと違う場所から出てきてしまいます。逆に、歯の大きさの割に顎が大きめだと、所謂すきっ歯になります。そして、お互いの幅がちょうど良いと、ちょうど良い歯並びになるのです。

しかし、研究によると、歯の横幅は少しずつ大きくなる傾向にあり、それに比べて顎の大きさは小さくなる傾向があります。ですので、歯が入り切らなくて歯並びが揃わない、というかたが圧倒的に多いのです。

 

顎の大きさは、実は歯並びだけでなく、たくさんのことに関係していると言われています。

 

こちらは、さきほどの患者さんのレントゲンです。この種類のレントゲンは、顔の骨格を調べることが出来ます。

レントゲンの中で、線で囲まれている部分が気道に当たります。上の方で、急激に幅が狭くなっているのがわかりますよね。このようになっている場合、患者さんは無意識のうちに、呼吸が苦しくなっています。苦しいので、お口を閉じられず、口呼吸になることが多くなります。お口で呼吸すると、お口が乾くので虫歯になりやすいですし、免疫力が下がるので風邪をひきやすくなります。

それ以外にも、睡眠が浅くなったり、いびきの原因になったり、オネショが治りにくかったりということにつながるそうです。場合によっては、発音がしにくくて、滑舌が悪かったりすることもあります。

 

 

さて、患者さんの最初の写真をもう一度見てみましょう。

 スライド08 のコピー.jpg

 

まずは上の前歯のあたりを見てみてください。

上の歯は乳歯列で綺麗に並んでいますが、歯と歯の間の隙間はあまりありません。もっとすきっ歯ですと、大きな永久歯が出てきても間に入れるのですが、この感じですと、乳歯より大きな前歯が出てきた時に、入り切らなくなりそうです。

実際、顎の中で歯はどのようなポジションだったか、もう一度思い出して見てください。レントゲンはこちらです。

 34023.jpg

 

次に下の歯ですが、乳歯が抜けずに永久歯が内側から出てきてしまっています。これも、乳歯列の間に永久歯が入りきれないために起こっています。

 

そのことから、上下の顎を広げていく治療計画を立てました。

 

上下で、ファーストステップとして広げ終わった時の状態がこちらです。

 スライド11.jpg

 

上の歯は、隙間が空きましたので、大きな永久歯が下から出てきても入ることができそうです。下の歯は、ひとまず外側の方に移動してきました。これも入りきるスペースが出来てきたので、このように並ぶことが出来ました。

 

ちなみに、その後上の永久歯が出てきまして、このようになってきました。

 スライド13.jpg

 

上の歯にはまだ余裕がありますから、次の永久歯が生えてきても大丈夫そうです。また、下の歯もだいぶ移動してきました。まだ完全ではありませんが、少しずつ動いてくるはずです。

 

現在上下ともに装置は除去していまして、次の歯が生えて来るのを待っているところです。

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